【CAREER Week25】その人事異動って必要?
「この人事異動、必要?」と感じたら。目的と意味、あなたのキャリアへの影響を解説
コンサルタントの竹中です。
日本の会社員なら、誰もが一度は経験したり、周りで耳にしたりするのが「人事異動」です。特に春先などは、新しい部署への異動や、予期せぬ転勤の辞令に驚く方もいらっしゃるのではないでしょうか。長年勤めている方でも、若い方でも、「なぜ自分が?」「この異動に意味はあるのか?」と不安や疑問を感じることは少なくありません。
日々の仕事に慣れて、これからさらにキャリアアップを目指そう、成果を出そうと意気込んでいる矢先の異動。「せっかく順調だったのに」「またゼロから人間関係を築くのか」と感じ、モチベーションが下がってしまう…そんなお悩みを抱える方もいらっしゃいます。
あなたも今、人事異動について「本当に必要なのだろうか?」と感じていますか?
今日は、キャリアコンサルタントである私の視点から、この日本の人事異動という制度の目的や意味、そしてそれがあなたのキャリアにどう影響するのかについて、一緒に掘り下げて考えていきたいと思います。人事異動に対するあなたの悩みや不安が、少しでも軽くなるヒントとなれば嬉しいです。
会社の意図とは?人事異動の主な目的
「会社は社員のことを分かっていないのでは?」と感じてしまうような突然の人事異動ですが、会社側にもこの制度を運用するなりの目的があります。もちろん、すべての異動が計画的かつ成功するわけではありませんが、一般的な人事異動の主な目的は以下の2点にあると言われています。
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人財育成とスキル開発: 特定の業務や部署に長く留まることで専門性は深まりますが、視野が狭まる可能性もあります。人事異動は、社員に多様な経験を積ませ、幅広い知識やスキルを習得させることで、多角的な視点を持つ人材を育成する目的があります。新しい環境で「これまで知らなかった自分」や「隠れた能力」を発見する機会ともなり得ます。
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組織の活性化と最適化: 同じメンバーややり方で組織が停滞するのを防ぐため、異動によって新しい視点や経験を持つ人材を配置し、「化学反応」を起こすことで組織を活性化させます。また、組織全体の能力を最大限に引き出すために、人員の最適な配置を行う目的もあります。
このように、会社は人事異動を通じて、社員個人の成長と組織全体の強化を図ろうとしています。
なぜ日本独特?海外との人事異動文化の違い
「どうしてうちの会社はこんなに異動が多いんだ?」と感じる方もいるかもしれませんが、実は人事異動、特に定期的なジョブローテーションは日本独特の雇用慣行と言えます。
欧米などの多くの国では、特定の職務内容に対して人材を採用する「ジョブ型雇用」が主流です。そのため、個人の専門性が非常に重視され、キャリアアップは主に同じ職種や業界での転職によって実現されることが多いです。会社が一方的に全く異なる部署への異動を命じる、ということはほとんどありません。
一方、日本の多くの企業に見られる「メンバーシップ型雇用」では、会社全体の一員として人材を採用し、様々な部署を経験させることで、ゼネラリストとして育成する側面が強くあります。人事異動は、この育成システムの中で重要な役割を果たしてきました。
この日本独特の人事異動文化には、良くも悪くも賛否両論があります。スペシャリストを目指したい人にとっては遠回りに感じられることもあれば、様々な経験を積みたい人にとっては学びの機会となることもあります。
あなたのキャリアにどう影響する?異動のメリット・デメリット
人事異動には、確かにデメリットもあります。慣れない環境でのストレス、新しい業務の習得、人間関係の再構築など、乗り越えなければならない壁があると感じるでしょう。「この異動、本当に自分のキャリアにとってプラスになるのだろうか?」と不安になるのも当然です。
しかし、視点を変えると、人事異動にはあなたのキャリアを大きく広げるメリットもたくさんあります。
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新しいスキルと経験の習得: 未経験の業務に挑戦することで、あなたのスキルの幅が広がります。これは、将来の転職やキャリアチェンジを考える上で大きな武器となります。
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視野の拡大: 異なる部署の働き方や考え方を学ぶことで、会社全体や業界に対する理解が深まります。これは、役職が上がった際などに必ず活きてくる経験です。
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自己理解の深化: 新しい環境に身を置くことで、自分がどのような仕事にやりがいを感じるのか、どのような環境で力を発揮できるのかなど、自身の向き不向きや価値観を再確認する機会となります。
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人間関係のネットワーク構築: 新しい部署で様々な立場の人と関わることは、社内外の人間関係のネットワークを広げることにつながります。
「知らないこと」「できないこと」に直面するのは怖いかもしれません。しかし、それは決して無知なのではなく、むしろ「成長の余地」があるということ。この機会を活かして、新しいスキルや経験を貪欲に吸収しようとする姿勢が、あなたのキャリアをより豊かなものにしてくれるはずです。
まとめ:「必要?」と感じる異動を成長の機会に変える
人事異動は、日本の多くの企業で行われている人財育成や組織活性化のための制度です。時に戸惑いや不安を伴うこともありますが、それをあなたのキャリアをさらに成長させるための機会と捉えることができるかどうかが重要です。
異動の辞令を受け取ったら、ぜひ立ち止まって考えてみてください。この異動で、どのようなスキルや経験が得られるだろう?
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新しい部署で、どのように会社に貢献できるだろう?
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この経験を、将来の自分のキャリアプランにどう活かせるだろう?
会社に与えられた異動という機会を、受け身でこなすだけでなく、自らのキャリアを切り拓くためのステップとして主体的に捉え直すことが、あなたの働く人生をより実りあるものにするはずです。
もし、今回の人事異動や今後のキャリアについて、一人で悩んだり、どう進めば良いか分からなくなったりした時は、抱え込まずに私たちにご相談ください。あなたの不安に寄り添い、これまでの経験やスキルを棚卸ししながら、あなたが納得できるキャリアの道筋を一緒に探すお手伝いをさせていただきます。
人事異動に関するお悩みや、今後のキャリアについて話を聞いてみたいと思われた方は、ぜひお気軽に弊社のホームページよりご連絡ください。あなたの新しい一歩を応援しています。
【CAREER Week25】HOPE.TAKENAKA